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尊敬する4人が作り上げてくれたラガーマンとしての自分の世界。いざ、復帰へ。

  • [ 選手日記 ]
  • 2023年3月29日

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今節の九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)戦のスタメンに東川寛史が名を連ねた。度重なるけがで復帰と離脱を繰り返し、これが今季初出場となる。約1年ぶりの試合で、いきなり先発出場。不安がないと言えば、嘘になる。

「練習と違って試合の感覚は独特で、外から見ていても感じられないところがある。試合は外からだと一連の流れで見られるけど、試合の中に入ると一人称になる。『ボールを持ったら自分の世界』という感覚。それは練習では感じられないこと」

これまで東川というラガーマンの世界を作った人物が4人いる。まずは、九州電力のラグビー部にいたという父親。ラグビーを始めるきっかけであり、「とても尊敬している」存在だ。

母校の東福岡高校ラグビー部の藤田雄一郎監督には精神面を鍛えられ、常にラグビーを勉強する姿勢にも感化された。アンダー世代の日本代表で指導を受けた中竹竜二さんの下ではコーチと選手が一緒にラグビーを作り上げるマインドに触れ、「一歩先のラグビーを見せてもらった」。

そして、法政大学で出会った杉本龍勇先生。経済学部の教授であり、オリンピック出場経験を持つ元陸上選手でフィジカルコーチとしても活動する恩師からは、何事にも100%で臨むことを学んだ。「ラグビーだけやるのはカッコ悪いぞ」。その言葉は社会人になったいまも響いている。

中国電力レッドレグリオンズではラグビーと仕事を両立する日々。仕事が大変なときでも空いた時間には練習に励み、最近では忙しい中でもチームメートと一緒に勉強をして資格を取った。けがが続いたときにはトレーナー陣に支えられつつ、自分でも陸上選手と交流して体の使い方を学んだ。いろんな人と関わり、何事にも全力で取り組んできた。その経験が東川の世界を形成している。

最後に試合に出場したのは、昨年4月の九州KV戦。前半に足を痛めて100%で戦い切れなかった悔しさがあった。「消化不良だったし、チームにも申し訳なかった。それがすごく印象に残っています」

復帰戦の今節は不安もあるが「試合に出られない選手、準備してくれるスタッフの方々の思いを背負って精一杯プレーしたい」と意気込む。

「攻撃で前進するきっかけを作るプレーをまずは意識して、正面の選手とのバトルに勝ちたい」

東川にはこれまで築き上げてきた自分の世界がある。試合のグラウンドに立ったとき、それをどう表現するか。「まずは80分間走ります!」もちろん、100%を出し切るだけだ。

(湊昂大)

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