【広島ダービー"で勝敗を分けたモノとは】
合同練習もする知った仲で、ともに広島ラグビー界を盛り上げるために普及活動も行っている。同じ志をもつ仲間であると同時に、自然と負けたくない気持ちが沸き起こってくるライバルでもある。マツダスカイアクティブズ広島と中国電力レッドレグリオンズによる"広島ダービー"が、12月17日にジャパンラグビー リーグワンで初めて実現し、中国電力レッドレグリオンズが勝ち名乗りを上げた。
勝敗を分けたポイントは先制点だった。マツダスカイアクティブズ広島は序盤から敵陣でプレーする時間を長くしてチャンスを作ったものの、得点できない。前半15分に龍野光太朗が狙ったペナルティーゴールが成功して先制していれば――。悔やまれてならないプレーもあった。
中居智昭ヘッドコーチは「前半にチャンスを仕留め切れなかったことがすべてではないかなと思います。何回も何回もチャンスがあるわけではない中、チャンスを確実に仕留めた中国電力レッドレグリオンズさんと、なかなか仕留め切れずにズルズルといってしまったマツダスカイアクティブズ広島という形で勝敗が分かれた」と試合を振り返っている。
中国電力レッドレグリオンズとしては、思い描いていたことができた試合だった。粘り強く守って前半29分に岩永健太郎のトライでリードすると、主導権を握って試合を進めた。
岩戸博和ヘッドコーチは「とにかくわれわれはディフェンスにフォーカスしてきて、そこを試合の入りから体現してくれたと認識しています」と試合を振り返り、共同キャプテンの鳥飼誠が欠場となるアクシデントにも動じず粘り強く戦った選手たちを称えた。
一つにまとまって相手にプレシャーを掛けた中国電力レッドレグリオンズに対して、マツダスカイアクティブズ広島は焦りを募らせてペナルティーを重ねていく。途中出場から後半24分にトライを決め一矢を報いた武田知大は、悔しそうに話した。
「気持ちの面で今日は相手のほうが強くて圧倒されてしまったところがあった。そこで上回りたい。技術とかではなくて、気持ちで勝ちたいです」
特に"ダービー"で重要な気持ちの面で、マツダスカイアクティブズ広島は引けをとった。
今季、"広島ダービー"はあと2試合ある。3月12日ある2戦目はマツダスカイアクティブズ広島の選手たちが発奮するに違いなく、さらに熱く激しい攻防が繰り広げられるに違いない。
(寺田弘幸)